被子植物の雄しべの主要部で、多くは花糸の上端に位置する。普通、葯は二つに分かれ(これを半葯という)、その間に葯隔がある。一つの半葯には二つの葯室があるため、葯室は合計四つとなる。葯室の中には多数の花粉母細胞が生じるが、それぞれ減数分裂を経て4個の花粉となる。葯室はシダ植物の小胞子嚢(のう)に相当する。葯は花糸に対して、多くは側生するが、内向または外向するものもある。また、ユリ属などのように葯の中央部に花糸がつき、雄しべ全体としてはT字形になるものもある。花粉が成熟すると、葯は裂開して花粉を出す。普通、縦に裂開するが、ツツジ属のように先端部に孔(あな)の開く孔開、クスノキ属のように壁が弁状にめくれる弁開などの裂開法もある。
[田村道夫]
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…〈ゆうずい〉ともいう。種子植物の花を構成する要素のうちの雄性器官で,花粉を入れる葯anther(小胞子囊)とそれを支える花糸filament(小胞子葉)からなる。異型胞子性シダ植物群の小胞子葉と形態的に相同である。…
※「葯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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