ムハンマド・フセイン・ハイカル(読み)むはんまどふせいんはいかる(その他表記)Muammad usain Haikal

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ムハンマド・フセイン・ハイカル
むはんまどふせいんはいかる
Muammad usain Haikal
(1888―1956)

エジプトの小説家、政治家。エジプトのカフル・ガンナーム村に生まれる。カイロに出て法律を学び、フランスに留学、法学博士学位を得て帰国し弁護士となるが、やがて立憲自由党の機関紙『シヤーサ』(政治の意)の主幹として健筆を振るう。のちエジプト大学(現カイロ大学)法学部講師、政治家などとして活躍、国務文部の両大臣職を歴任し、上院議長も務めたが、彼の名を不朽にしたのは小説『ザイナブ』(1914)の著者としてである。これは、彼が留学中、望郷の念に駆られてペンをとり、ザイナブという名の村娘の悲恋をエジプトの農村を背景に描いたもので、多分に感傷的で農村や農民の実態とはかけ離れているが、近代エジプト小説の嚆矢(こうし)と目され、伝統をもたないエジプトの近代小説に、その第一歩を踏み出させた功績は少なくない。

[奴田原睦明]

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