デジタル大辞泉 「望郷」の意味・読み・例文・類語
ぼう‐きょう〔バウキヤウ〕【望郷】
[補説]作品名別項。→望郷
[類語]追憶・懐旧・懐古・懐かしむ・追想・回想・回顧・記憶・追懐・懐郷・顧みる・振り返る・思い返す・偲ぶ・ノスタルジック・ノスタルジア・郷愁・郷夢・愛郷
ぼうきょう【望郷】[書名・映画・絵画]




フランス映画。1937年製作。《地の果てを行く》(1935),《我等の仲間》(1936)につづくジュリアン・デュビビエ監督作品。パリ警察の元警部の小説をもとにしてアンリ・ジャンソンが脚本を書き,ジャン・ギャバンが主演したデュビビエの代表作の一つ。日本ではとくに人気の高い作品である。
パリからアルジェリアのカスバに逃げ込んだギャング,ペペ・ル・モコが,美しいパリ女に出会って望郷の思いに耐えきれず,捕らえられてみずから命を絶つ物語で,当時,スリラーを詩の水準まで引きあげた〈詩的リアリズム〉の作品と評価された。しかし,アルジェリア独立運動が重要問題化したのちは,思想的バックボーンを欠いた商業作家の通俗メロドラマとする批判も出された。ハワード・ホークス監督のギャングスター映画《暗黒街の顔役》(1930)の影響が指摘される一方,逆にこの映画もジョン・クロムウェル監督のロマンティック・スリラー《アルジェ》(1938),ジョン・ベリー監督のセミ・ミュージカル《迷路》(原題《カスバ》)(1948)と2度リメークされている。
執筆者:柏倉 昌美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
… 現在では都市の城壁は大半が取りこわされたが,城砦の部分や旧市街はかなり保存されており,チュニスでは官庁街,ラバトやアルジェでは半ばスラム化した住宅街になっている。アルジェのカスバは,映画《望郷》に示されたように,ヨーロッパ人の目からみると犯罪者の巣窟であり,また異国趣味を満足させる観光の対象である。だがアルジェリア人にとっては映画《アルジェの戦い》に示されたように民族運動の拠点になった町であり,またイスラム都市の原型が残された心のふるさとである。…
…フォーリー・ベルジェールのダンサーとなり,ミュージック・ホールやオペレッタに出演したのち,しばらくムーラン・ルージュでミスタンゲットの相手役をつとめる。1930年,映画にデビューし,G.W.パプストの《上から下まで》(1933),ジュリアン・デュビビエの《白き処女地》(1934)で頭角をあらわし,続くデュビビエの《地の果てを行く》(1935),《我等の仲間》《望郷》(ともに1936),ジャン・ルノアールの《どん底》(1936),《大いなる幻影》(1937),マルセル・カルネの《霧の波止場》(1938)など30年代フランス映画の代表的な作品で多彩なヒーロー,あるいはアンチヒーローを演じた。〈ハンサム型〉ではない〈男性的な〉スターとして国際的な人気をよぶ。…
※「望郷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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