日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムラソイ」の意味・わかりやすい解説
ムラソイ
むらそい / 斑曹以
mottled rockfish
[学] Sebastes pachycephalus pachycephalus
硬骨魚綱スズキ目メバル科に属する海水魚。体は高い卵円形で、ほかのソイ、メバル類に比べてずんぐりしている。後頭部は丸く隆起する。目の上縁はよく隆起し、両眼間隔域は深くくぼむ。頭の背面には数本の強い棘(とげ)がある。涙骨(るいこつ)(目の前下方にある骨)の下縁に棘がない。ムラソイは色彩変異が著しい。分布域と体色によって、次の四つの亜種がある。
(1)青森県から宮崎県までの太平洋岸、北海道から九州北西岸までの日本海、東シナ海、朝鮮半島南部および中国大陸に分布するムラソイSebastes pachycephalus pachycephalusは、腹部、胸部および頭の下面に円い黒色斑点(はんてん)がある。
(2)神奈川県、石川県、京都府、山口県、長崎県などから知られているホシナシムラソイSebastes pachycephalus nigricansは、前記(1)のムラソイにみられる黒色斑点がなく、体に不定形の大きい3個の黒褐色斑がある。
(3)北海道南部以南、朝鮮半島南部、中国山東半島などに分布するオウゴンムラソイSebastes pachycephalus nudusは、体や鰭(うろこ)に金色に輝く斑点がある。
(4)北海道南部以南、朝鮮半島に分布するアカブチムラソイSebastes pachycephalus chalcogrammusは、体に不規則な赤色斑が散らばる。
いずれも近海の岩礁域に生息する。初夏のころに仔魚(しぎょ)を産む卵胎生魚。全長35センチメートルぐらいになる。刺網、釣りなどで漁獲され、煮つけにすると味がよい。
[尼岡邦夫]