日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムーサー」の意味・わかりやすい解説
ムーサー
むーさー
Mūsā b. Nuayr
(640―716/717)
アラブの軍人で、北アフリカ西部とスペインの征服者。最初、ウマイヤ朝のカリフ、アブド・アル・マリクの治下、バスラの徴税官の任にあったが、公金着服の嫌疑で解雇された。その後エジプトの総督アブド・アル・アジーズによって、698年ごろイフリーキヤ州の総督に任命されると、西方へ進軍してモロッコを征服、さらに711年、部下のターリクに命じてスペインの征服を開始した。翌年、自らアラブ人を主力とした1万8000の兵を率いてスペインに渡り、ターリクと競いつつスペインを征服、莫大(ばくだい)な戦利品と捕虜を携え、ダマスカスに凱旋(がいせん)。その後まもなく没した。
[私市正年]