メコン・デルタ(読み)めこんでるた(英語表記)Mekong Delta

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メコン・デルタ」の意味・わかりやすい解説

メコン・デルタ
めこんでるた
Mekong Delta

東南アジアを流れるメコン川下流に広がるデルタ(三角州)。カンボジアの首都プノンペンより下流の沖積平野をさし、広義ではトンレ・サップ湖周辺の平野を含む。面積約7万平方キロメートル、うち約300万ヘクタールが稲作地で世界的な大産米地帯を形成する。雨期にはメコン川の水がトンレ・サップ湖に逆流するため、メコン・デルタの稲作の安定に役だっている。雨期の冠水の深さにより3地域に分けられる。もっとも水位が高いところは浮稲(うきいね)栽培地帯、低いところは1回移植地帯、その中間は2回移植地帯である。浮稲は茎の長さが6メートルもある稲で、1日の成長は最大5センチメートルにも達する。メコン・デルタの米の平均収量は1ヘクタール当り1.5トンと日本の3分の1にすぎないが、労力も3分の1程度である。デルタにはメコン川本流と分流とを結ぶ運河縦横に走り、物資の運搬や交通に利用されている。これらの川や運河はまた淡水魚の宝庫であり、漁業も重要な産業となっている。

[大矢雅彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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