メリベウミウシ(その他表記)Melibe pilosa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メリベウミウシ」の意味・わかりやすい解説

メリベウミウシ
Melibe pilosa

軟体動物門腹足綱メリベウミウシ科。体長 10cm。体は殻を欠きナメクジ状で,飴色の地に多数の褐色小斑が散在する。背上には大きなのぼりのような突起が1対ずつ前後に6~7個並ぶが,さわるとちぎれやすい。頭部頭巾状に大きく広がり,その縁に5~6本の触手がある。これを広げて岩の表面などにかぶせて小動物を捕えて食べる。3~8月に橙黄色のリボンを束ねたような卵塊を産む。房総半島以南の岩礁に普通にみられる。体から悪臭を発する。以前は大型のものをムカデメリベ,小型のものをヒメメリベとして区別されていたが,同一種とされ,メリベウミウシと呼ばれる。近縁種に淡紅色で 50cm以上に達するヤマトメリベ M.japonicaがあり,相模湾から九州に分布する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メリベウミウシ」の意味・わかりやすい解説

メリベウミウシ
めりべうみうし
[学] Melibe pilosa

軟体動物門腹足綱メリベウミウシ科の動物。相模(さがみ)湾以南の太平洋側と日本海沿岸各地の岩礁潮間帯にすむ。変わった形をした後鰓(こうさい)類で、体長10センチメートルぐらいになり、体は寒天質側扁(そくへん)している。頭部は拡大して頭巾(ずきん)状になっていて、縁には小触手が密生している。背の両側には5~6対の方形の突起が並ぶが、脱落しやすい。体は飴(あめ)色で半透明。歯舌を欠く。頭巾を投網のように広げて餌(えさ)をとる。従来はムカデメリベM. vexilliferaとヒメメリベM. papillosaの2種とされていたが、同物異名なのでメリベウミウシに統一された。

[奥谷喬司]

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