改訂新版 世界大百科事典 「モルトマン」の意味・わかりやすい解説
モルトマン
Jürgen Moltmann
生没年:1926-
ドイツのプロテスタント神学者。牧師を経て,ボン,後にチュービンゲン大学の組織神学教授。当初改革派の研究をしたが,やがてE.ブロッホやオランダの神学者ファン・リューラーA.A.Van Rulerに触発されて《希望の神学》(1964)を著し,20世紀後半の神学の一潮流の代表者となった。その特徴は,終末論の将来的ならびに社会的次元を強調するところにある。やがて《十字架につけられた神》(1972),《三一論と神の国》(1980)と主題を転じている。一方でキリストの十字架と復活を軸とし,他方で歴史的世界とその苦悩に即しつつ〈神と歴史〉を追究している点で一貫している。彼の神学は方法や体系性よりも,鋭いひらめきに富む。
執筆者:近藤 勝彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報