ヤマドリゼンマイ(読み)ヤマドリゼンマイ(その他表記)Osmunda cinnamomea var. fokiensis; cinnamon fern

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤマドリゼンマイ」の意味・わかりやすい解説

ヤマドリゼンマイ(山鳥薇)
ヤマドリゼンマイ
Osmunda cinnamomea var. fokiensis; cinnamon fern

ゼンマイ科の夏緑性シダ植物。アジア東部からヒマラヤに広く分布し,山地湿原に群生する。根茎はほぼ塊状先端に葉を叢生する。葉は長さ 1m前後になり,胞子葉栄養葉の2型があり,若時には赤褐色綿毛で密におおわれているが,のちに無毛になる。栄養葉は黄緑色の1回羽状複葉で,羽片は無柄で,裂片は円頭全縁で縁にはわずかに毛が残る。胞子葉は栄養葉より小型で2回羽状に裂け,全体に綿毛をかぶり黒毛が混る。近縁種のオニゼンマイはほとんど同じ範囲に分布するが,胞子葉と栄養葉とがヤマドリゼンマイほど明らかな2型をなさない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマドリゼンマイ」の意味・わかりやすい解説

ヤマドリゼンマイ
やまどりぜんまい / 山鳥薇
[学] Osmundastrum cinnamomeum (L.) Pr.

ゼンマイ科の夏緑性シダ。葉は束生し、栄養葉と胞子葉の二型があるが、若芽のうちは早落性の赤褐色の綿毛に包まれる。栄養葉は黄緑色で長さ1メートルに達し、羽状に分裂する。羽片は深裂し、側脈は二叉(さ)に分かれる。胞子葉は葉身が退化して、幅が狭く直立し、胞子の若いころは緑色だが、成熟して胞子が飛散すると赤褐色になる。北半球温帯に広く分布する。日本では全国の山地の湿原に群生し、北に分布するものほど大形となる。

[西田治文]


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