日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユスティニアヌス法典」の意味・わかりやすい解説
ユスティニアヌス法典
ゆすてぃにあぬすほうてん
Codex Iustinianus ラテン語
ローマ皇帝ユスティニアヌス1世が534年11月16日の勅法で公布し、12月29日から施行された勅法集。『ローマ法大全』の一部をなす。ハドリアヌス帝の勅法から534年の勅法までを採録する。これ以前、529年にすでに一度勅法集を発しているので、この『旧勅法集』Codex vetusに対して『改訂勅法集』Codex Iustinianus repetitae praelectionisとよばれ、ユスティニアヌス法典と略称される。編纂(へんさん)を指揮したのはトリボニアヌスであった。
全巻は12巻に分かれる。さらに各巻は章に分かれ、各章中に同一事項ごとに発布年に従って勅法が配列される。各勅法には、発布した皇帝と受領すべき者の名前(前書)と発布年(後書)が付加される。この勅法集は現行法として用いられている勅法の集録で、各勅法は短縮され、相互の矛盾を除くようにしてある。おおむね、第1巻は教会関係の法と法源、ならびに官制を、第2~第8巻は私法関係のものを含み、第9巻は刑法、第10~第12巻は行政法関係の勅法を収める。
[弓削 達]
『船田享二著『ローマ法 第一巻』(1968・岩波書店)』▽『E・マイヤー著、鈴木一州訳『ローマ人の国家と国家思想』(1978・岩波書店)』