日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユニバーシティ・プレス」の意味・わかりやすい解説
ユニバーシティ・プレス
ゆにばーしてぃぷれす
university press
営利を直接の目的としない、大学における出版活動、および活動を行う組織をいう。大学の出版活動の起源は、1478年オックスフォード大学内で印刷された最初の本『聖ジェロームの使徒信条』までさかのぼることができるが、本格的かつ継続的な活動は、1584年に再開(始まりは1521年)されたケンブリッジ大学プレスだとされる。しかし、両大学が華々しい出版活動を展開できたのは、1534年にヘンリー8世から、印刷人や書籍販売人の許可権を与えられた特権的地位による。アメリカの大学で今日的な出版活動が始まったのは19世紀の後半であり、1878年ジョンズ・ホプキンズ大学によりスタートが切られた。第二次世界大戦後、アメリカのユニバーシティ・プレスは目覚ましい発達を遂げ、研究書や教科書を中心に、同国出版文化の重要な役割を担うに至った。
日本の大学出版部の最初は、1886年(明治19)東京専門学校(早稲田(わせだ)大学の前身)が講義録発行の目的で設立した出版局とされるが、東京大学をはじめほとんどの大学出版部の活動は第二次世界大戦後からである。1963年(昭和38)に設立された大学出版部協会には2009年(平成21)時点で32校が加盟している。
[清水英夫]
『G・R・ホウズ著、箕輪成男訳『大学出版部 科学の発展のために』(1969・東京大学出版会)』▽『早稲田大学出版部編『早稲田大学出版部100年小史』(1986・早稲田大学出版部)』