改訂新版 世界大百科事典 「ユニリーバ会社」の意味・わかりやすい解説
ユニリーバ[会社]
Unilever P.L.C.(Public Limited Company)
Unilever N.V.
イギリスとオランダにそれぞれ本社を置く,世界最大の食品・日用品メーカー。本社はロンドンとロッテルダム。1929年,イギリスのセッケン・メーカー,リーバ・ブラザーズ社Lever Brothers Ltd.とオランダのマーガリン・メーカー,マルガリーネ・ウニ社Margarine Unie N.V.が合併して設立された。リーバ・ブラザーズ社は1885年,ウィリアム・リーバWilliam Hesketh Lever(1851-1925)によって設立され,当時セッケンは棒状のものを切売りしていたのに対し,1個ずつ包装して〈サンライト〉という商標で売り出した。近代的な広告宣伝によりこのセッケンの大量販売に成功し,リーバ・ブラザーズ社はまたたく間に成長した。西アフリカの植物油の供給のため設立したヨーロッパ最大の商事会社ユナイテッド・アフリカ社United Africa Co.などの力により1910年には国内生産の1/3以上を占めるようになった。一方,オランダではマーガリンの生産でユルゲンスとファン・デン・バークが激しい競争を行い,この2者および第1次大戦中にマーガリンの製造を始めたリーバ・ブラザーズ社との間でヨーロッパ市場で三つどもえの争いをしていた。27年ユルゲンスとファン・デン・バーク社の両社は合同し,オランダにマルガリーネ・ウニ社とイギリスにマーガリン・ユニオン社という二つの持株会社を設立した。29年同社はリーバ・ブラザーズ社と合併し,マルガリーネ・ウニ社はUnilever N.V.に,マーガリン・ユニオン社はUnilever Ltd.となった。ユニリーバ社は企業の買収と多国籍化により成長してきたが,買収した会社のブランドをそのまま使用し,現地の人間を経営者に登用してきたことにその経営戦略の特徴がある。第2次大戦後は,アイスクリーム,冷凍食品などに進出し事業の多角化をしている。セッケンのLux,洗剤のDove,紅茶のLipton,Brooke Bondなどが有名。日本では64年に豊年製油などと合弁で豊年リーバ(1977年ユニリーバの子会社日本リーバとなる)を設立している。なおオランダ本社,イギリス本社とも同一メンバーの取締役で構成されている。イギリス,オランダ両社合計の売上高402億ユーロ(2004年12月期)。
執筆者:北井 義久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報