ヨツンヘイム(その他表記)Jötunheimr

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨツンヘイム」の意味・わかりやすい解説

ヨツンヘイム
Jötunheimr

北欧神話の神々の敵,霜の巨人たちのすみか。オーディンとビリとベの3神が,原古に霜の巨人たちの祖先イミルを殺して,その死体から世界を創ったとき,イミルから流れ出た血によって大洪水が起り,霜の巨人たちは全滅したが,ただベルゲルミルとその妻だけが臼に乗って難を逃れ,生残った。この夫婦から生じた巨人の種族のために,オーディンはイミルの肉から彼が創った大地のはての,世界を取巻く大海に面した地域をすみかとして与え,イミルのまつげを植えて造った城壁によって,人間の住むミズガルズに彼らが侵入できないようにしたという。世界樹イグドラシルの根の一つはヨツンヘイムに伸び,その尽きるところには,巨人ミミルの所有する無限の知恵を蔵する水の湧く泉がある。 (→アスガルズ )

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨツンヘイム」の意味・わかりやすい解説

ヨツンヘイム
よつんへいむ
Jǒtunheimar

北欧神話に現れる巨人の国。『エッダ』によると、巨人の国は神々や人間の国から遠く離れた北東の果てにある。人間界との間にはエーリバーガル川が流れ、ワシの姿をした巨人フレースベルグが住み、風はその翼からおこるという。しかしその場所は北であったり、東とされたり、天の縁(ふち)にあるとか海の向こう、あるいは山の向こう側とされるなど一定していない。人間界に似てヨツンヘイムには山や牧場があり、巨人たちはそこで狩りや漁をしたり、家畜を飼うという。また、その館(やかた)は燃える炎で取り巻かれているともいう。

[谷口幸男]

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