日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨルダン地溝帯」の意味・わかりやすい解説
ヨルダン地溝帯
よるだんちこうたい
西アジアにある大地溝帯。ヨルダンとイスラエルの接壌地帯にあたる。全長約420キロメートル、幅約10~40キロメートル。両側を比高800~1200メートルの断層崖(がい)で限られる。北半には南流するヨルダン川があって死海に達し、南半では死海に向かってアルバー・ワジが通じる。高度が低く、大部分は海水面下にあり、死海の湖面の標高マイナス396メートルは地球上の最深地点である。イスラエル領のヨルダン川上流域は低湿であるが、フラ湖の干拓をはじめ土地開発が進み、年降水量も550ミリメートルと恵まれるため、豊かな農耕地が広がる。ヨルダン領のヨルダン川下流域は、逆に極度に乾燥するが、ヨルダン川の支流ヤルムーク川、ザルカ川からの引水事業も進み、果樹栽培が盛んである。エリコ、ペラなど聖書にまつわる遺跡が多い。なお、地溝帯の南の延長は長さ約220キロメートルにわたって狭長なアカバ湾を形成し、さらにその先は紅海および東アフリカの大地溝帯へとつながる。
[末尾至行]