アカバ湾(読み)あかばわん(英語表記)Kalig el ‘Aqaba

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカバ湾」の意味・わかりやすい解説

アカバ湾
あかばわん
Kalig el ‘Aqaba

シナイ半島アラビア半島の間にある紅海北端の支湾イスラエル名ではエイラトEilat湾という。南北約160キロメートル、東西の幅は19~27キロメートルの細長い湾で、湾の奥にイスラエルのエイラト港とヨルダンのアカバ港がある。両国にとってアカバ湾は紅海への唯一の出口であり、アカバ湾口のティラン海峡は、経済的にも軍事的にも非常に重要な位置を占める。1956年の第二次中東戦争ののち、ティラン海峡の自由航行権がイスラエルに与えられた。しかし1967年、エジプトは同海峡の対イスラエル封鎖を発表、これが同年6月の第三次中東戦争の直接のきっかけとなった。

[高橋和夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカバ湾」の意味・わかりやすい解説

アカバ湾
アカバわん
Gulf of Aqaba

紅海の北東に位置する湾。死海から東アフリカへ続く大地溝帯の一部を形成する湾で,成因は陥没による。サウジアラビア,エジプト,イスラエル,ヨルダンに囲まれている。幅 20~30km,長さ約 160km。水深は一定でなく,ところにより 610mにも達する。湾口は狭く,暗礁が多く,船舶航行の難所。天然の港はダハブだけであるが,イスラエルはエーラト港を,ヨルダンはアカバ港を築港した。中世以来エジプトからメッカへの巡礼道程であった。 1967年5月,アラブ連合のナセル大統領は,すべてのイスラエル船舶と,イスラエルへ武器を運ぶ外国船に対して,湾を封鎖し,中東戦争の発端をつくった。

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