日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨーロッパコウイカ」の意味・わかりやすい解説
ヨーロッパコウイカ
よーろっぱこういか
[学] Sepia officinalis
軟体動物門頭足綱コウイカ科のイカ。大形の種で、ヨーロッパ・アフリカ沿岸を南北に、北はスカンジナビア半島からヨーロッパ、地中海を経てさらにアフリカ南部まで分布し、その間で数亜種に分かれている。外套(がいとう)(胴)長は30センチメートル以上になり、外套膜の背側には、虎斑(とらふ)模様がある。甲(貝殻)は長楕円(ちょうだえん)形で、内円錐(えんすい)は低く、外円錐に密着する。棘(とげ)は短くほとんど突出しない。ひれは広く、腕吸盤は4列、触腕の吸盤は5~6列で、中央の1列の吸盤は他よりも大きい。現在、市場でモンゴウイカ(紋甲烏賊)とよばれているイカは大部分本種である。モンゴウイカの名は、本来カミナリイカの地方名であったが、最近では遠洋トロールによって本種が多量に入荷するようになり、もっぱらその名は本種に流用され流布した。日本の遠洋トロールのみでなく、ヨーロッパ諸国も本種を漁獲利用していて、底引網のほか「イカ籠(かご)」などでもとられる。
[奥谷喬司]