翻訳|mantle
軟体動物の体表が膜状に薄くはり出し,主として内臓塊をおおうもの。二枚貝(斧足(ふそく)類)では左右2葉に分かれていて,腹縁は肥厚し貝殻を分泌する。巻貝(腹足類)ではらせん状の螺管(らかん)の内壁を裏打ちする形になっている。頭足類では厚く袋状の筋肉からなり,中に内臓塊のみならず,貝殻(いわゆるイカの甲)をも包み込んでいる。貝殻をもつグループでは外套膜は薄い膜状であるが,頭足類や後鰓(こうさい)類のように外套膜が裸出しているものでは,表皮は丈夫で体を保護する。とくに頭足類では,外套膜表面をおおう皮層に分布する色素胞の作用により体色の変化を起こし,また筋肉の収縮などによって体表の凹凸も変えることができる。外套膜が形づくる空所は外套腔mantle cavityと呼ばれるが,外界と通じていて体腔ではない。外套腔には鰓(えら)があるほか,肛門や生殖物質の排出口もあり,呼吸水の吸入や不用物の排出などはいずれも外套膜の収縮弛緩あるいは繊毛流との組合せによって行われる。ほかに腕足類(触手動物)の背腹殻内にある筋肉膜,ホヤ類(原索動物)の厚く体表をおおう皮膜をも外套膜と呼ぶ。
執筆者:奥谷 喬司
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軟体動物および腕足動物において、内臓嚢(のう)を覆うように広がった膜状の体表をいう。外套ともいい、これから貝殻が分泌される。外套膜の構造の違いにより、それぞれの種に特有の貝殻の形ができる。軟体動物のなかでも原始的な多板類(ヒザラガイ類)では、1枚の楕円(だえん)板状をなし、内臓嚢の背側にあって8枚の殻板を分泌する。二枚貝類(斧足(おのあし)類)では、左右2枚の外套膜が2枚の貝殻を分泌し体を包む。腹足類では内臓嚢の表面から足の背方に円筒状に広がり、内臓嚢のねじれに従って螺旋(らせん)状の貝殻をつくる。掘足(くっそく)類(ツノガイ類)では上端の開いた円錐(えんすい)形で、角笛状の貝殻ができる。頭足類の外套膜は1枚で、イカ類では円錐形、タコ類では嚢状をなし、表皮の陥入した嚢中に甲(ペンともいう)が分泌される。一方、シャミセンガイなど腕足動物では、背腹に1枚ずつの外套膜が伸び、貝殻を分泌するので、貝殻は背腹2枚となり、二枚貝類とは異なる。
[町田武生]
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…地球の主要部分で,体積の83%を占め,固体よりなる。ただし,ごく一部分は部分溶融状態にある。密度の高い,マフィックなケイ酸塩よりなり,層構造をもつ。これは深部ほど圧力が増大し,相転移が起こるためと考えられている。 地球は上部より,地殻,マントル,核に分けられる。地殻とマントルとの境界面であるモホロビチッチ不連続面(略称モホ面)の深さは,大陸の地下で約35km,海洋下で約12km程度である。またマントルと核との境界面の深さは,およそ2900km(より正確には2880~2890km)である。…
※「外套膜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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