ライニー植物群(読み)ライニーしょくぶつぐん(英語表記)Rhynie flora

改訂新版 世界大百科事典 「ライニー植物群」の意味・わかりやすい解説

ライニー植物群 (ライニーしょくぶつぐん)
Rhynie flora

イギリス北部スコットランドのライニー付近の厚さ約2.5mのチャート層Rhynie chertから産する初期の化石陸上植物群。1913年にマッキーS.J.Mackieによって発見された。保存がよく茎や繁殖器官の構造がよく観察できることで有名である。この地層は最初デボン紀中期と考えられていたが,現在は約4億年前のデボン紀前期と考えられている。産出するおもな植物にはライニア・マヨールRhynia major,ライニア・ギンボニイR.gwynne-vaughaniホルネオフィトン・リグニエリHorneophyton lignieriアステロキシロン・マッキエイAsteroxylon mackieiなどがある。前の3種は二叉(にさ)分枝する葉のない裸枝の先端に胞子囊をつけた50cm未満の草本で,古生マツバラン類に属する。アステロキシロンは前3者より大きく,また径25mmを超す主茎をもち,現生ヒカゲノカズラ類に外観が類似する。以前は古生マツバラン類とされていたが,現在では古生ヒカゲノカズラ類に所属すると考えられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ライニー植物群」の意味・わかりやすい解説

ライニー植物群
ライニーしょくぶつぐん
Rhynie flora

イギリス北部スコットランドのライニー付近で発見された,デボン紀前期の植物群。原始陸上植物が生育した湿地泥炭が植物遺体ごとケイ化して保存されたライニーチャート(→チャート)に含まれる。初期の維管束植物であるリニア Rhynia維管束植物ではないが通道組織をもつアグラオフィトン Aglaophytonホルネオフィトン Horneophyton,小葉類であるアステロキシロン Asteroxylon などの多様な分類群を含み,陸上植物の初期の多様化の様子がうかがえる。ライニーチャートの中には共生菌類やダニ類などの節足動物も保存されており,初期の陸上生態系の化石ともいうべきものである。

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