泥炭(読み)でいたん(英語表記)peat

翻訳|peat

日本大百科全書(ニッポニカ)「泥炭」の解説

泥炭
でいたん
peat

草炭(そうたん)ともよばれ、JIS(ジス)(日本工業規格)では、水生植物、コケ類、湿地帯の草類が堆積(たいせき)し、生化学的変化を地表近くで受けて生成したものをいい、北海道、シベリアなど極寒地で微生物活動期間の比較的短いような地帯に多い。木材と褐炭の中間に位置する。普通は石炭に分類しない。炭層の上層から下層へ移るにしたがって草根樹皮などを含む黄褐色の多孔質から黒褐色泥状のものとなる。多量の水分を含んでいるが乾燥すれば燃料となる。ウシなどの飼料製造原料としての用途もある。

[大内公耳・荒牧寿弘]

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岩石学辞典「泥炭」の解説

泥炭

腐植土に富む草および草の根の下の表面層,あるいは泥炭[Tomkeieff : 1954].

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百科事典マイペディア「泥炭」の解説

泥炭【でいたん】

ピートとも。湿地浅沼植物遺体が厚く堆積しある程度生化学的分解を受けたもの。石炭生成の第一段階。黄褐色または褐色を呈し,ふつうそれを構成する原植物の組成を肉眼的に識別し得る。乾燥すれば燃料となり,草炭とも呼ばれる。構成植物がおもにアシ,スゲなどである泥炭を低位泥炭,樹木の落葉などである泥炭を中間あるいは森林泥炭,ミズゴケを主とするものを高位泥炭という。保水材,土壌改良剤として園芸や農業に利用,またウィスキー製造過程のモルト乾燥には不可欠。
→関連項目石炭泥炭地フィンランドミズゴケ

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精選版 日本国語大辞典「泥炭」の解説

でい‐たん【泥炭】

〘名〙 石炭の一種。もっとも石炭化度の低いものをいう。石炭化度が低いために、狭義には石炭には加えられない。植物組織がそのまま含まれている場合が多く水分も多いため、よほど乾燥しなければ燃料としては用いられない。
※新聞雑誌‐四五号付録・明治五年(1872)五月「金属、石炭、泥炭、膏風、等の所在と良否を知り」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「泥炭」の解説

泥炭
でいたん
peat

ピート,草炭ともいう。沼沢地や湿地に生育した樹木,草本,コケ類などの植物が,嫌気性の環境下に蓄積し,ある程度の分解や炭化によって黒褐色になったもの。燃料や固形肥料原料として用いられる。北海道などの寒冷地東北中部の高山地域,第四紀の地層中などにみられる。

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世界大百科事典 第2版「泥炭」の解説

でいたん【泥炭 peat】

沼沢地や湖沼などの湿原植物の繁茂する湿地に集積した分解不完全な植物遺体の堆積物。ピートあるいは草炭などとよばれることもある。水で飽和されて酸素不足となった条件下では地中動物や微生物の活動が抑制されるため,植物遺体の分解が完全には進まず,まだ植物の組織が肉眼で識別できる程度に腐朽した黄褐色ないし暗褐色の植物遺体が集積する。この過程を泥炭集積作用peat accumulationといい,一般に排水後なお20cm以上の泥炭層を有する土地を泥炭地peat landという。

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化学辞典 第2版「泥炭」の解説

泥炭
デイタン
peat

[別用語参照]石炭化度

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世界大百科事典内の泥炭の言及

【湿原】より

…欧米では湿原に対して細分された語が発達しており,日本の湿原という総称に対応する語はない。湿原は泥炭(ピートpeat)ができているかどうかで,沼沢湿原marsh,swampと泥炭湿原mireに大別される。 沼沢湿原は,湖沼の岸や河川の排水の悪い氾濫(はんらん)原などにみられ,栄養物質に富んだ水に涵養(かんよう)され,泥炭は集積しない。…

【土壌型】より

…地衣類やコケ類からなる貧弱な植生のためA層の発達が悪く,夏季に融解する氷は下部に存在する永久凍土層によって排水が妨げられるためグライ化作用が進行する。またツンドラ・グライ土では凍結と融解による土層のかくらん現象(クリオタベーションcryoturbation)が活発なため泥炭の集積はあまり生じない。(2)亜寒帯針葉樹林帯の土壌型 湿潤寒冷気候帯の北方針葉樹林(タイガ)に典型的に発達している土壌型はポドゾルである。…

※「泥炭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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