ラストマン(その他表記)Pieter Lastman

改訂新版 世界大百科事典 「ラストマン」の意味・わかりやすい解説

ラストマン
Pieter Lastman
生没年:1583-1633

オランダ画家アムステルダムに生まれ同地で没。イタリア留学中にエルスハイマーおよびカラバッジョから感化を受け,帰国後,自然主義的描写に基づきつつも物語的性格がきわめて強い宗教的・歴史的主題絵画を描いてマニエリスムを克服した。故郷ライデンでの修業を終えたレンブラントが彼のもとで6ヵ月間学んで根本的な影響を受けたことでも有名。このため彼を筆頭に同じころアムステルダムで活躍したピナスPynas兄弟ら同傾向の画家を一般に〈レンブラント前派〉と呼ぶ。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のラストマンの言及

【オランダ美術】より

…もちろんだからといってオランダが国際的な潮流とまったく無縁だったわけではない。ユトレヒトでは1610‐20年代にテルブリュッヘン,ファン・ホントルストらのイタリア帰りの画家がカラバッジョ様式を移植して大胆な明暗法によって広範な影響を残し,アムステルダムではエルスハイマーの影響から出発したラストマン一派が物語性を重視した聖書や神話の主題の明快な表現によってレンブラントをはぐくむ土壌を準備した。しかし大多数の市民たちは,特別の知識がなくても素直に享受できる親しみやすい画題を好んだため,15世紀以来ネーデルラント絵画の中で副次的な部分ながら魅力ある役割を演じてきた風景,静物,建築,風俗がそれぞれ自立して分野を形成し,肖像と並んで絵画制作の主流の位置を占めるにいたる。…

【レンブラント】より

… 製粉業者の子としてライデンに生まれる。1620年,ライデン大学に入学するがすぐ退学し,ファン・スワーネンビュルフJ.van Swanenburghに入門,次いでアムステルダムでP.ラストマンに学ぶ。ラストマンはイタリアからカラバッジョおよびエルスハイマーの影響をオランダに導入した一連の物語画家たち,いわゆる〈レンブラント前派Pre‐Rembrandtists〉の代表格であり,旧約聖書に好んで取材し,前世代のマニエリストとは対照的に,寓意性を排して物語の明快な叙述を志向した彼の絵画は,レンブラントに永続的な影響を与えた。…

※「ラストマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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