日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルスハイマー」の意味・わかりやすい解説
エルスハイマー
えるすはいまー
Adam Elsheimer
(1578―1610)
ドイツの画家。フランクフルト・アム・マインに生まれ、ローマで没。20歳でイタリアへ赴いたと推定され、ベネチアでロッテンハンマーHans Rottenhammer(1564―1625)に学ぶ。1600年ローマに行きカラバッジョの影響を受けて独自の様式を確立した。それは聖書や神話の人物を配した理想主義的な風景画で、銅板のごく小さい画面のなかに、当時始まりつつあったバロックの壮大さと明暗の劇的な対比を盛って、この様式の尖兵(せんぺい)となった。親交のあったルーベンスは彼の夭逝(ようせい)に哀悼を捧(ささ)げ、C・ロランはこの先達に負うところが大きい。『エジプトへの逃避』(1609年。ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク)は代表作。
[野村太郎]