日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラマクリシュナン」の意味・わかりやすい解説
ラマクリシュナン
らまくりしゅなん
Venkatraman Ramakrishnan
(1952― )
アメリカの分子生物学者。インド生まれで、1971年にインドのバローダ大学物理学科を卒業してアメリカに渡り、1976年にオハイオ大学で物理学博士号を取得した。その後、カリフォルニア大学で生物学に転向し、ユタ大学教授、イギリスのMRC(Medical Research Council)分子生物学研究所の上級研究員などを歴任。2009年、ヨナット、スタイツとともに「リボソームの構造と機能に関する研究」によりノーベル化学賞を受賞した。
細胞内にあるリボソームは、生命の設計図であるDNAの情報からタンパク質をつくりだす製造工場であるが、その詳しい構造や働きはわかっていなかった。
1980年、ノーベル賞同時受賞者のヨナットが世界で初めてリボソームの結晶化に成功した。その後、ラマクリシュナン、スタイツ、ヨナットの3人はそれぞれX線結晶解析の手法でリボソームの立体構造を原子レベルで解明した。抗生物質の多くは、リボソームの働きを妨げることで細菌を殺している。リボソームの立体構造の解明によって新薬開発の道が開かれた。
[馬場錬成]