改訂新版 世界大百科事典 「リカステ」の意味・わかりやすい解説
リカステ
Lycaste
温室で栽培される半落葉性ラン科植物の1属。メキシコからブラジルに45種が分布し,着生ランが多いが,半着生や腐生もある。やや扁平な楕円状の偽球茎(バルブ)を持ち,その茎の頂部から広くて長さ30~40cmの葉を2~4枚つける。花茎は偽球茎の基部から出,1~3個の白,黄,褐あるいは帯紅色の花をつける。花弁は小さく,三つの萼片が大きく三方に展開していて,大きいものは花茎15cmくらいになる。通常は落葉期間中に開花する。リカステ・スキンネリL.skinneri Lindl.,リカステ・アロマティカL.aromatica Lindl.,リカステ・クルエンタL.cruenta Lindl.などの種が日本に導入され,栽培されている。渡来は明治年間。リカステ・スキンネリを中心に種間交配によって新品種が作出されるほか,近縁のアングロア属Anguloaとのあいだに,属間雑種のアングロカステAngulocasteが生まれている。高温を好むため,冬は最低10℃以上にする。夏は涼しい半日陰がよく,また生長期なので,水,肥料を十分に与えて肥培する。冬は休眠期でほとんどが落葉する。株分けは春,開花直後に行う。
執筆者:江尻 光一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報