日本大百科全書(ニッポニカ) 「リケジョ」の意味・わかりやすい解説
リケジョ
りけじょ
理系の高等専門学校や大学などで学ぶ女子学生のこと。「理系女子」の略で、「リケ女」とも書く。2011年(平成23)にアメリカの物理化学専門誌『The Journal of Physical Chemistry』に掲載された、BZ反応とよばれる周期的に色が変化する化学反応に関する論文が、茨城県立水戸第二高等学校の数理科学同好会に在籍していた女子卒業生5名によるものであることが話題となった。これをきっかけに理系で学ぶ女子学生に注目が集まり、総称的な呼称として広まった。また、就職氷河期にあっても、工学部などの理系学部で女子学生の就職率が比較的高かったこと、仕事と出産や育児を両立させる女性研究者が多いことなどがメディアで報じられ、話題性が高まった。
文部科学省によると、2016年度の理系学部に占める女子学生の比率は、理学部27.0%、工学部14.0%、農学部が44.5%で、増加傾向ではあるが高いとはいえないのが実情である。総務省統計局の「科学技術研究調査」によれば、日本の女性研究者数は年々増加しているものの、2016年3月末時点で13万8400人で、研究者全体の15.3%。これは先進国中最低の割合にとどまる。政府は「男女共同参画」の推進、「科学技術創造立国」の観点から、女性研究者の増加に力を入れ、2006年には文部科学省(2009年度からは科学技術振興機構)により、「女子中高生の理系進路選択支援事業」が始められた。
[編集部 2017年10月19日]