リケッチア感染症

内科学 第10版 「リケッチア感染症」の解説

リケッチア感染症(感染症および寄生虫疾患)

 リケッチアは人工培地で増殖できず,細胞内でのみ増殖する偏性細胞内寄生細菌であり,大きさは約0.5×2.5 μm,多形性を示す.通常,ダニノミシラミなどのベクターを介してヒトに感染し,急性の熱性疾患を起こす.おもなリケッチア感染症には,つつが虫病と,日本紅斑熱を含む紅斑熱群リケッチア症,発疹チフス群リケッチア症,またアナプラズマ科のエーリキア症,アナプラズマ症,腺熱などがある(表4-11-1).日本ではつつが虫病と日本紅斑熱が常在のリケッチア症として知られているが,多様なリケッチア症の存在が報告されており,患者発生地域以外でもリケッチア症を鑑別に入れる必要が増している.[安藤秀二]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のリケッチア感染症の言及

【感染症】より

…また感染をしても病気の症状がなく,健康にみえる場合を無症状感染または不顕性感染という。代表的な細菌感染症には猩紅(しようこう)熱,赤痢,腸チフス,結核,癩,肺炎球菌性肺炎,気管支炎,腎盂(じんう)腎炎,膀胱炎,皮膚化膿症などが,スピロヘータ感染症には梅毒,黄疸出血性レプトスピラ症などが,リケッチア感染症には発疹熱,ツツガムシ病などが,ウイルス感染症には風邪症候群,インフルエンザ,肝炎,黄熱,日本脳炎,流行性耳下腺炎(おたふく風邪),麻疹(はしか),風疹,水痘などが,真菌感染症にはカンジダ症,アスペルギルス症などが,原虫感染症にはアメーバ赤痢,マラリア,トキソプラズマ症,寄生虫感染症にはジストマ病(吸虫症),条虫症(サナダムシ病),十二指腸虫(鉤虫)症,顎口虫症などがある。類似の語に〈伝染病〉があるが,これは伝染性の感染症をさす。…

※「リケッチア感染症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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