腺熱(読み)センネツ(その他表記)glandular fever

デジタル大辞泉 「腺熱」の意味・読み・例文・類語

せん‐ねつ【腺熱】

リンパ節れ・発熱を示す病気腺熱リケッチア症伝染性単核症がある。

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精選版 日本国語大辞典 「腺熱」の意味・読み・例文・類語

せん‐ねつ【腺熱】

  1. 〘 名詞 〙 からだの各所のリンパ節がはれて高熱を出す病気。主として小児に流行し、咽頭が赤くなり、物を飲みこむとき痛みを感じる。腺熱リケッチア症(日向熱鏡熱など)と伝染性単核症(BBウィルスによるもの)とがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「腺熱」の意味・わかりやすい解説

腺熱 (せんねつ)
glandular fever

以前は伝染性単核細胞症infectious mononucleosisと同意語とされてきたが,伝染性単核細胞症はEBウイルス病原とする疾患ということが明らかにされるとともに,腺熱は,腺熱リケッチアRickettsia sennetsu病原体である腺熱リケッチア症を指す病名となってきた。両者は臨床像がきわめて類似する。腺熱は国内とくに九州で発生する地方病で,外国にはない。感染経路,媒介動物などの疫学的研究は進行していない。潜伏期は約2週で,発熱,頭痛,不眠,筋肉関節痛,全身リンパ節腫張などの症状が出る。また,白血球減少後増加リンパ球増加,異型リンパ球出現,γ-グロブリン増量,肝障害がみられる。診断は,血液やリンパ節片をマウスに接種し,リケッチアを分離して行う。血清学的診断では,ポール=バネル反応と吸収試験,ウェイル=フェリックス反応が行われる。病気の全経過は約2週間で,予後は良好である。治療はテトラサイクリンが最もよいが,リケッチアは長く体内に残存するという。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「腺熱」の意味・わかりやすい解説

腺熱
せんねつ

いくつかの異なった病原体による急性感染症で、発熱、全身のリンパ節腫脹(しゅちょう)、異型リンパ球を含む単核細胞(リンパ球)の増加を主徴候とする一つの症候群とみなされている。このうち、病原体の確認された腺熱リケッチアによる腺熱リケッチア症(日向(ひゅうが)熱や鏡熱など)とEBウイルスによる伝染性単球増加症は、腺熱症候群から区別されている。

[柳下徳雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「腺熱」の意味・わかりやすい解説

腺熱
せんねつ

伝染性単核球症」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の腺熱の言及

【伝染性単核細胞症】より

…IMと略記し,伝染性単核球増多症ともいう。腺熱と似た症状を呈するが,リケッチアによる腺熱とは異なり,病原体はEBウイルスが最も重要と考えられている。多くは経口感染により伝播し,潜伏期は4~7週,若年男女に多く,発熱,リンパ節腫張(頸部に最も著しい),咽頭痛を3主徴とする。…

【リケッチア】より

…新たな人間が感染するのは,シラミの吸血刺口をかいた傷口から,糞の一部が侵入するためである。 ヒトに病原性を有するリケッチアは,発疹チフスのリケッチアを含めて11種が知られており,発疹熱,ロッキー山紅斑熱,北アジアダニチフス,ブートン熱,クインスランドダニチフス,リケッチア痘,恙虫(つつがむし)病,Q熱塹壕(ざんごう)病および腺熱である。 恙虫病は,リケッチア・オリエンタリスR.orientalisによってひき起こされ,秋田,山形,新潟地方で古くから知られていた死亡率の高い疾患で,ツツガムシによってヒトに伝播される。…

※「腺熱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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