改訂新版 世界大百科事典 「リビアネコ」の意味・わかりやすい解説
リビアネコ
Libyan wild cat
Felis libyca
イエネコによく似たヤマネコ。食肉目ネコ科の哺乳類。アフリカ,アラビア,パレスティナからトルキスタン,インドまでと,サルデーニャ島,コルシカ島,イタリア本土に分布。体長48~62cm,尾長25~38cm,体重3.6kgほどになる。ヨーロッパヤマネコに酷似し,学者によっては同一種とする。体の割りに四肢が長く,四肢と尾には黒い輪状斑がある。体は灰褐色でやや不明りょうな黒色の横縞がある。腹面は黄色みを帯び,耳の背面はつねに赤褐色である。乾燥した低木林,砂漠,荒地などに単独ですむ。おもに夜行性で岩の下ややぶの中などに潜むことが多く,曇って涼しい日にはしばしば日中も活動する。ネズミ,ジリス,小型のアンテロープの子,鳥などを捕食する。暑い地方では一年中繁殖し,妊娠期間約66日,ふつう1産2~3子を生む。イエネコの主要な祖先の一つと考えられ,これとヨーロッパヤマネコF.silvestris,ジャングルキャットF.chausがいろいろに混じって現在のイエネコができ上がったとされる。リビアネコとイエネコの間には雑種が容易にできる。
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報