リピドーシス
Lipidosis
(遺伝的要因による疾患)
ゴーシェ病、ファブリー病、テイ・サックス病など十数種類の病気が知られています。
糖脂質(複合脂質の一種)が肝臓、脾臓、骨髄、脳神経系などの内臓に蓄積するため、肝脾腫、骨病変、眼病変、発達障害、神経症状が現れます。加齢により症状は進行します。
ゴーシェ病は、肝脾腫、貧血、骨痛、出血傾向、発達遅滞、神経症状などを主な症状として、乳児期に発症する重症型から成人期の軽症型まで幅広い症状を示します。
ファブリー病は、10歳ごろに四肢痛、無汗、発熱発作で気づかれ、年齢が進むと腎障害、脳および心血管障害、角膜混濁が現れます。保因者である女性にも、加齢により症状が出ることがあります。
テイ・サックス病は、発達遅滞と退行、筋力低下、けいれん、神経症状、嚥下困難などの症状を示し、重症型は2~4歳で死亡します。
対症療法に加え、骨髄移植や欠損酵素の補充療法が可能な場合もあります。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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リピドーシス
りぴどーしす
lipidosis
遺伝子異常による脂質蓄積症をいうが、普通はとくにスフィンゴリピドの蓄積症をさす。スフィンゴリピドとは、スフィンゴシンあるいはそれに類似した長鎖アミノアルコールをもつ脂質(リピド)であり、スフィンゴミエリン、セレブロシド、ガングリオシドなどを含み、グリセリンを含む複合脂質(グリセロフォスフォリピド)に対する用語である。
スフィンゴリピドは細胞質内のリソゾームにある加水分解酵素によって分解されるが、遺伝子異常によってこの酵素の一つが先天的に欠損すると、リソゾーム内に蓄積される。とくに、ガングリオシドは中枢神経系に多く存在しており、その蓄積症はガングリオシドーシスとよばれる。大部分は乳幼児期に発病し、脳変性疾患の症状を示す。患者の血液や尿を用いて欠損酵素を確認することにより確定診断が行われる。特異的治療法はなく、つねに進行性の経過をとり、予後は不良である。なお、羊水検査によって出生前診断も行われている。
[山口規容子]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のリピドーシスの言及
【黒内障】より
…現在では病名としては単独で用いられることはなく,現存する病名は,黒内障性猫眼amaurotic cat’s eyeと家族性黒内障性白痴amaurotic familial idiocyのみである。前者は網膜芽細胞腫retinoblastomaのある時期に瞳孔の中が光ることを指し,後者は代謝異常疾患の一つであるリピドーシスlipidosisの眼症状を主として指す病名である。【小林 義治】。…
【先天性代謝異常】より
…(3)中性脂肪代謝異常 血漿中の脂肪の増加,組織への沈着が起こる。(4)複合糖質代謝異常 ムコ多糖代謝異常(例,ハーラー症候群),糖脂質代謝異常(例,テイ=ザックス病,ニーマン=ピック病など一群のリピドーシス),糖タンパク質代謝異常(例,シアリドーシス,アイ・セルI‐cell病),の三つに分けられる。蓄積性疾患が多く,知能障害,骨変化を伴って重症心身障害の原因となる。…
※「リピドーシス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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