改訂新版 世界大百科事典 「リボ」の意味・わかりやすい解説
リボ
Théodule Armand Ribot
生没年:1839-1916
フランスの心理学者,精神病理学者。エコール・ノルマル・シュペリウール卒業後,1885年にパリ大学教授となり,88年にはコレージュ・ド・フランス教授となる。従来フランスで行われていた主観的・観念的心理学を否定し,哲学から分離させて,実証的・自然科学的心理学を確立。フランスの科学的心理学の祖とされる。生理学や病理学の知見や方法をとり入れて,心理学を実験科学にまで築きあげた。とくに病態心理学の知見を重視し,心理現象を発生論的にとらえ,精神機能のヒエラルヒー秩序を心理学の中核にすえた。その後,記憶,意志,人格の病理学的研究や感情についての研究を行い,主情主観的心理学の体系をうちたてた。主著に《現代イギリス心理学》(1870),《現代ドイツ心理学》(1879),《変態心理学》(1881-85)などがある。
執筆者:武正 建一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報