改訂新版 世界大百科事典 「レクステイネリア」の意味・わかりやすい解説
レクステイネリア
Rechsteineria
イワタバコ科に属する球根植物の1属。ブラジルからメキシコにかけて約75種が分布し,そのうち数種が栽培される。しかしオオイワギリソウ属Sinningia(グロキシニア)にごく近縁で,最近はオオイワギリソウ属に合一されることも多い。扁平な球状の球根(塊茎)を有し,直立した茎に対生に楕円状の葉をつける。一般に,全面に微細な毛,または軟毛を帯びる。茎頂近くの葉腋(ようえき)に,1ないし数花をつける。花は細長い筒状で先端は短く5裂し,横または下向きに咲く。赤または橙色花の種類が多い。
栽培されている主な種類には,レクステイネリア・レウコトリカR.leuchotricha Koehneとレクステイネリア・カーディナリスR.cardinalis O.Kuntz.がある。前者はブラジルの険しい崖に生えているので,英語でqueen of the abyss(断崖の女王)と呼ばれ,また全株にエーデルワイスのように銀白色の軟毛を密生することからBrazilian edelweissとも言われる。花は橙赤色。後者はビロード状の美しい葉を有し,鮮紅色の花をつける。
繁殖は種子による。一般には,秋に種子をまき,冬15℃以上の温室で栽培すると,翌春,開花するが,レクステイネリア・レウコトリカは,生育がおそく開花はおくれる。秋には灌水を絶ち,冬の間,温室の棚下や室内で乾燥させて,休眠させる。排水の良い多孔質の用土を用いるとよい。
執筆者:冨士原 健三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報