イワタバコ科に属し,鐘状の大輪花をつける球根植物。温室内で鉢植えとして栽培される。ブラジル原産のオオイワギリソウSinningia speciosa Benth.et Hook.をもとに,種間交配によって改良された園芸品種の一群を,グロキシニアと呼んでいる。オオイワギリソウは初めグロキシニア属Gloxinia speciosa Lodd.に分類されていたため,園芸上では今日もグロキシニアの名で通用している。扁平な球状の球根(塊茎)を有し,短い茎に楕円状の葉を対生につける。茎頂付近の葉腋(ようえき)から上向きに咲く花をつけるが,下向きの花が生じる系統もある。赤,桃,紫,白色などの花があり,覆輪,八重咲きの品種もある。オオイワギリソウ属には20種ほどがあり,葉に銀白色の模様が入るシンニンギア・レギナS.regina Sprague,ごく小型でブラジル原産のシンニンギア・プシラS.pusilla Baill.などがよく栽培されている。普通は夏から秋に種子をまき,冬季15℃以上の温室で栽培すると,翌春,開花に至る。葉挿しによって繁殖することもでき,その場合,葉の基部にまず球根を生じる。球根は冬季に定植されることが多い(春に開花させる)が,秋に灌水を絶ち,春まで温室の棚下などで貯蔵すると,保温にそれほど気を使わなくてもよい。
執筆者:冨士原 健三
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イワタバコ科(APG分類:イワタバコ科)の不耐寒性球根草。和名オオイワギリソウ。ブラジル原産で、1785年に発見され、その後ヨーロッパで品種改良が行われ、日本へは明治初年に渡来した。葉は塊根状の球根から展開し、短い柄があり長楕円(ちょうだえん)形の多肉質でやや大きく、全面に毛を密生する。夏、葉腋(ようえき)から花茎を伸ばし、大きい鐘状花を数個斜め上向きに開く。花は径7~8センチメートル、ビロード状で花冠は5~8裂する。花色は赤、紫、白で、花筒が白色のもののほか、覆輪のもの、細かい斑点(はんてん)の入るものがある。多くは一重咲きであるが八重咲きもある。品種の系統には中輪早咲きのクラシックフォーリア系と大輪多花性のグランディフローラ系がある。
栽培適温は18~25℃で、寒さには弱く、5℃以下では枯死する。半日陰の多湿状態でよく育ち、日よけをした温室内で栽培するのに適し、5~6月の家庭の室内ではかなり長期間観賞できる。繁殖は分球、実生(みしょう)、葉挿しによる。球根は3月下旬ころ、湿った砂などに埋め、25℃ほどに保って芽出ししてから鉢に植える。種子は10月ころ播(ま)き、冬季は高温下で育苗し、3月ころ鉢に植える。葉挿しは4センチメートルくらいの葉柄をつけて切った葉をパーライトなどに挿すと、2か月くらいで切り口に球根ができる。植え付けの用土は赤玉土4、腐葉土4、ピートモス2くらいの割合とする。
[鶴島久男 2021年7月16日]
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…ブラジルからメキシコにかけて約75種が分布し,そのうち数種が栽培される。しかしオオイワギリソウ属Sinningia(グロキシニア)にごく近縁で,最近はオオイワギリソウ属に合一されることも多い。扁平な球状の球根(塊茎)を有し,直立した茎に対生に楕円状の葉をつける。…
※「グロキシニア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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