日本大百科全書(ニッポニカ) 「グロキシニア」の意味・わかりやすい解説
グロキシニア
ぐろきしにあ
gloxinia
[学] Sinningia speciosa Benth.
イワタバコ科(APG分類:イワタバコ科)の不耐寒性球根草。和名オオイワギリソウ。ブラジル原産で、1785年に発見され、その後ヨーロッパで品種改良が行われ、日本へは明治初年に渡来した。葉は塊根状の球根から展開し、短い柄があり長楕円(ちょうだえん)形の多肉質でやや大きく、全面に毛を密生する。夏、葉腋(ようえき)から花茎を伸ばし、大きい鐘状花を数個斜め上向きに開く。花は径7~8センチメートル、ビロード状で花冠は5~8裂する。花色は赤、紫、白で、花筒が白色のもののほか、覆輪のもの、細かい斑点(はんてん)の入るものがある。多くは一重咲きであるが八重咲きもある。品種の系統には中輪早咲きのクラシックフォーリア系と大輪多花性のグランディフローラ系がある。
栽培適温は18~25℃で、寒さには弱く、5℃以下では枯死する。半日陰の多湿状態でよく育ち、日よけをした温室内で栽培するのに適し、5~6月の家庭の室内ではかなり長期間観賞できる。繁殖は分球、実生(みしょう)、葉挿しによる。球根は3月下旬ころ、湿った砂などに埋め、25℃ほどに保って芽出ししてから鉢に植える。種子は10月ころ播(ま)き、冬季は高温下で育苗し、3月ころ鉢に植える。葉挿しは4センチメートルくらいの葉柄をつけて切った葉をパーライトなどに挿すと、2か月くらいで切り口に球根ができる。植え付けの用土は赤玉土4、腐葉土4、ピートモス2くらいの割合とする。
[鶴島久男 2021年7月16日]