レルマ公爵(読み)レルマこうしゃく(その他表記)Duque de Lerma

改訂新版 世界大百科事典 「レルマ公爵」の意味・わかりやすい解説

レルマ公爵 (レルマこうしゃく)
Duque de Lerma
生没年:1553-1625

スペインフェリペ3世寵臣。本名Francisco Gómez de Sandoval y Rojas。フェリペ3世の全面的な信頼を受けて,国王が即位した1598年より20年間にわたって国政を牛耳り,17世紀スペイン政治史上の一大特徴である〈寵臣政治〉の先駆けをつくった。彼は現状維持を政策の基本にし,事を構えることを回避したために,この時期にスペインは比較的平穏な時代を送ることができた。彼が主導した政策としては,対外的には,1609年にオランダと12年間休戦協定を締結したこと,国内では,やはり同年にモリスコ追放令を公布したこと,などがあげられる。彼は絶対的な権力を背景に,私的蓄財に励んだり,一族郎党をその能力に関係なく重用するなどの私利私欲に走ったために,政治は腐敗し,社会には不正が横行した。18年に失脚したが,彼の後継者オリバレス伯公爵によって在任中の不正を追及されて,その不当に得た財産返還を求められるなどして,失意のうちに死んだ。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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