ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フェリペ3世」の意味・わかりやすい解説
フェリペ3世
フェリペさんせい
Felipe III
[没]1621.3.31. マドリード
スペイン=ポルトガル王(在位 1598~1621)。ポルトガル王としてはフェリペ2世。フェリペ2世と神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世の娘アンナの子。政治に関心が薄く,寵臣レルマ公およびその息子ウセダ公の独裁にまかせ,寵臣政治を行なった。1609年ネーデルラント北部 7州と 12年間の休戦協定を結び,事実上その独立を認めた(→オランダ独立戦争)。宗教的統一を実現するために約 30万に及ぶムーア人(→ベルベル人)を追放して農業の衰退を招き,また対外的には三十年戦争に参加するなどして国庫の負担を増し,スペインの没落を早めた。しかし,文化的にはいわゆる「黄金の世紀」を迎え,エル・グレコ,ディエゴ・ベラスケスらの画家,ミゲル・デ・セルバンテス・サアベドラ,ロペ・フェリス・デ・ベガ・カルピオらの文人が輩出し,またアルカラ大学,サラマンカ大学を中心にヨーロッパの学界をリードする学問が発達した。
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