ロシア金融危機(読み)ロシアきんゆうきき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロシア金融危機」の意味・わかりやすい解説

ロシア金融危機
ロシアきんゆうきき

巨額の財政赤字を解消するために,1998年8月,ロシアは通貨ルーブルの切下げと債務の繰延べに踏切った。ソ連崩壊後 97年末までに,ロシアは激しいインフレをひとまず終息させたものの,財政赤字は一向に削減できなかった。財政赤字の根本には,慢性化した税収不足や,歳出削減がむずかしい状況にあることなどがある。さらに 97年以降はアジア経済危機により外資撤退が相次ぎ一層深刻な事態となった。政府は 98年5月以降,数次にわたって公定歩合を引上げるとともに,経済・金融安定化計画を発表,国際通貨基金,世界銀行なども 220億ドル超の融資を決めた。それでもなお事態は好転せず,8月には株価債権,通貨ルーブルの3つがそろって下落するトリプル安に陥った。このためキリエンコ政府はルーブルの切下げ (デノミ) と債務繰延べを発表し,世界経済を大混乱させた。混乱はアメリカ株式市場にも及び,急成長したヘッジファンドが破綻寸前に追込まれるなど,快走を続けるアメリカ経済に冷水を浴びせた。

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