ロッサーノ福音書(読み)ロッサーノふくいんしょ(英語表記)Codex purpureus rossanensis

改訂新版 世界大百科事典 「ロッサーノ福音書」の意味・わかりやすい解説

ロッサーノ福音書 (ロッサーノふくいんしょ)
Codex purpureus rossanensis

イタリア南部,カラブリア州ロッサーノRossanoの司教区美術館蔵の彩飾聖書写本福音書の一部をおさめる。《ウィーン創世記》と同じく紫羊皮紙に銀文字で本文を書き,挿絵をほどこした豪華な写本で,6世紀,コンスタンティノープルの制作と推定されている。挿絵には,〈ラザロの復活〉〈キリストエルサレム入城〉〈賢い乙女と愚かな乙女〉〈最後の晩餐〉〈足洗い〉〈ピラトの前のキリストと囚人バラバ〉などの場面が描かれている。現存する挿絵入り福音書写本としては,《シノペ福音書》(パリ,ビブリオテーク・ナシヨナル)と並ぶ最古の作品。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロッサーノ福音書」の意味・わかりやすい解説

ロッサーノ福音書
ロッサーノふくいんしょ
Rossano Codex

6世紀に制作された挿絵入り福音書写本。南イタリアのロッサーノ大聖堂所蔵。紫羊皮紙 188葉にマタイ,マルコ両福音書を含む。「エルサレム入城」「ゲッセマネ」など 12点の挿絵と福音書家の肖像,預言者像が描かれている。劇的な描写性,人物の性格的表現などの特徴はウィーンの『創世記』と似るが,より東方的伝統を反映し,部分的にはパレスチナ聖地の壁画構図を反映するとも考えられている。小アジア,アンチオキアなどで制作されたものと推定される。

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