アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン(読み)あいんしゅてゅるつぇんでのいばうてん(英語表記)Einstürzende Neubauten

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン
あいんしゅてゅるつぇんでのいばうてん
Einstrzende Neubauten

冷戦末期、東西に分断されていたドイツ、ベルリンの文化状況を象徴する存在であったインダストリアル・ノイズ・グループ。1980年、トルコ系移民や前衛芸術家などが多く住む西ベルリンのクロイツベルク地区に住んでいた21歳のブリクサ・バーゲルトBlixa Bargeld(1959― 、ギター、ボーカル)は、友人たちとともに廃物をパーカッションとして用いたノイズ・グループを結成、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン(崩壊する新建築の意)の名義で数回の演奏を行う。後にグループはメンバーの入れ替わりを経て、バーゲルトとN・U・ウンルー N. U. Unruh(1957― 、パーカッション)、F・M・アインハイト F. M. Einheit(1958― 、ドラムス)の3人編成となる。ファースト・アルバム『コラプス』Kollaps(1981)はグラインダー、ノイズギター、さまざまな機械音と悲鳴と絶叫が交錯するなか、バーゲルトの叫び声に近いボーカルが聞こえてくる混沌とした作品であった。
 やがて、マーク・チャンMark Chung(1957― 、ベース)、アレクサンダー・フォン・ボルジグAlexander von Borsig(1965― 、ミキシング)が参加、ノイバウテンは5人組となる。ライブのみならず、現代アートのフェスティバルにも参加するなど、現代ベルリンの前衛ポップ音楽として注目を集めるようになった彼らは、イギリスのインディー・レーベル、サム・ビザールよりセカンド・アルバム『患者O.T. のスケッチ』Zeichnungen des Patienten O. T.(1983)、サード・アルバム『半分人間』Halber Munsh(1984)を発表。荒廃したベルリンの状況をそのまま映し出すようなインダストリアル・ノイズ・ミュージックとライブ・パフォーマンスは高い評価を受け、1985年にはワールド・ツアーを行うことになる。この時彼らは初来日し、同時に廃墟のオブジェを中心にした展覧会を行っている。
 このころからバーゲルトは交流のあったオーストラリア出身のニック・ケイブNick Cave(1957― )のグループ、ニック・ケイブ&ザ・バッド・シーズのギタリストとして活動を行い、他のメンバーもセッション活動を活発に行うようになる。また、東西ドイツの交流が深まるにつれて、彼らはドイツの現代都市文化を代表する存在として見られるようになり、数々の文化フェスティバルに招致されるようになる。またラジオ劇の音楽やダンス・カンパニーの伴奏音楽なども多く担当した。
 以降も、初期の激しいノイズにメロディアスな要素を徐々に増しつつ、『ハウス・デア・ルーゲ』Haus der Luege(1989)、『タブラ・ラサ』Tabula Rasa(1993)などをリリース。1994年にチャンが脱退するが、その後も活発に活動を続けている。[増田 聡]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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