日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルフール人」の意味・わかりやすい解説
アルフール人
あるふーるじん
Alfoers
インドネシア東部にあるモルッカ(マルク)諸島、とくにハルマヘラ島に住む民族。島は赤道直下にあって、火山が多く、火山土壌の堆積(たいせき)によって肥沃(ひよく)な土壌をもち、サゴヤシが豊富に自生している。生業は沿岸漁業に加えて米やココナッツの栽培、そして狩猟採集経済をもつが、もっとも重要な食料はサゴヤシの幹からとるデンプンである。アルフールの呼称は、ハルマヘラ語で「森の人」を意味するハレフルからきたという。他のモルッカ諸島でも、外部との接触が少なく森林の奥地に孤立したままの民族集団を総称してアルフールとよんだ。人種的にはパプア人に近く、言語はオーストロネシア語系のハルマヘラ語を話す。宗教的にはイスラム化が進み、キリスト教の布教も盛んに行われたが、アニミズムの影響が根強く残っている。住居は海岸や河口などの低地に杭上(こうじょう)居住を行う。現在はインドネシア化が進んでいるが、彼らについての情報は少ない。
[片多 順]