イナゴマメ(英語表記)Ceratonia siliqua; carob

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イナゴマメ」の意味・わかりやすい解説

イナゴマメ
Ceratonia siliqua; carob

マメ科の常緑高木で,東地中海原産。高さ 15mにも達する。観賞用または莢をとる目的で植えられる。小アジア,シリアなどにも生え,その栽培は有史以前といわれる。樹形はこんもりとした球状で美しい。葉は羽状複葉。花は総状花序につき,花弁はなくおしべが黄または紅色。蜜源になる樹木である。莢は長さ 15~20cm,幅 3cmで中に5~15個の種子がある。莢の内側の果肉には 50%の糖分を含み,「野生の蜜」と呼ばれそのまま食べられ,またシロップ,砂糖の代用や菓子の原料となる。また動物の飼料としても重要でパレスチナやシリアからは外国へ輸出している。昔,荒野をさまよったバプテスマヨハネの食べ物となったのはこの莢であるといわれ,St. John's breadという別名もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android