日本大百科全書(ニッポニカ) 「イヌフグリ」の意味・わかりやすい解説
イヌフグリ
いぬふぐり
[学] Veronica polita Fr.
Veronica didyma Ten. var. lilacina (Hara) Yamaz.
ゴマノハグサ科(APG分類:オオバコ科)の越年草。茎は基部で分枝して地をはう。葉は卵円形で初め対生、のちに互生してその腋(わき)に花をつける。花冠は4深裂して皿状に開き淡紅色で径約4ミリメートル。蒴果(さくか)は亜鈴形でイヌの陰嚢(いんのう)に似るところからこの名がある。イヌノフグリともいう。本州以南に分布し、土手や道端に生えるが少ない。北半球に広く分布するが、ヨーロッパ原産のものが広がったと考えられている。一般によく見られるオオイヌフグリ(オオイヌノフグリ)V. persica Poir.は花が青くて大きく、現在は広く全国に分布するが、明治初期に渡来したヨーロッパ原産の帰化種である。俳句などで一般にイヌフグリとよんでいるのは後者である。
[久保多恵子 2021年8月20日]