インジウム化合物(読み)インジウムカゴウブツ

化学辞典 第2版 「インジウム化合物」の解説

インジウム化合物
インジウムカゴウブツ
indium compound

酸化数1と3とがあるが,後者が普通である.酸化数2の化合物は,Inと Inの混合物とみられている.水素化合物には,InH,InH3が得られるが,リチウムホウ素アルミニウムの水素化合物と混合水素化合物をつくる.酸化物は,In2O,In2O3が得られ,水酸化インジウムIn(OH)3塩基の性質を示すが,強アルカリ溶液に対しては酸の性質を示し,両性化合物とみられる.溶液状態で In は強い還元剤であるが,同時に不安定であって,In0 と In3+ に不均化反応を起こして分解する.In3+ のイオン半径は0.085 nm で,同族のアルミニウムイオンのように,ミョウバンをつくる.可溶性の塩としては硝酸インジウムIn(NO3)3・3H2O,硫酸インジウムIn2(SO4)3・6H2Oなどがよく用いられる.硫化物,シュウ酸塩などは難溶で,ハロゲン化物は揮発性である.インジウムの有機金属化合物はR3In型のアルキルインジウムのほか,Inおよび Inのシクロペンタジエニルインジウム化合物も知られている.硫化物,セレン化物はサーミスターや光電導体として利用される.InN,InAs,InP,InGaN,GaAlInAsなどは化合物半導体,酸化物は液晶ディスプレイ用ITO(indium-tin oxide)透明電極として重要.化合物としてPRTR法・第二種化学物質として指定を受けている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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