エイズ治療薬(読み)エイズちりょうやく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

エイズ治療薬
エイズちりょうやく

後天性免疫不全症候群 (エイズ) は HIVと呼ばれるレトロウイルスによって起る疾患で,その患者数は 1980年にアメリカで記載されて以来,世界中で爆発的に増加している。治療薬の研究は精力的に行われているが,いまだに決定的なものはない。しかし HIVの感染,発症のメカニズムの研究が進むにつれて,そのライフサイクルの各段階に対する阻害剤の開発が行われ,いくつかの活性物質が見出されている。現在,抗 HIV剤の主流は,ウイルスの核酸合成を阻害する薬物として,すでに抗エイズ薬として承認されている AZT (アジドチミジン) ,ddI (ジデオキシイノシン) ,ddC (ジデオキシシチジン) などに代表されるヌクレオシド剤である。これらのほかにも,D4T,アジド ddU,ddAなどが AZTとの併用という形で用いられている。さらに,ウイルスと宿主細胞との吸着・融合を阻害するものとして,硫酸化多糖類,可溶性 CD4,抗真菌性抗生物質,抗菌性ペプチドなどが知られている。また,HIVの前駆体蛋白を機能蛋白に変換するプロテアーゼの阻害剤,DNAが2本鎖を形成する際のアンチセンス DNA類似体の投与による転写翻訳阻害剤,脱殻阻害剤,グリコシレーション阻害剤など,さまざまの作用機序をもつ薬剤が研究開発の途上にある。

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