改訂新版 世界大百科事典 「エマルジョンペイント」の意味・わかりやすい解説
エマルジョンペイント
emulsion paint
展色剤がエマルジョン(乳濁液)状の塗料の総称。塗料の分野ではエマルションと濁らずにいうのが普通である。通常は水性合成樹脂エマルジョン(ラテックス)を展色剤とした塗料をいうが,広義には非水エマルジョン(有機媒体中に,これに溶解しない重合体粒子を安定に分散させたもの)および後乳化法水性エマルジョン(界面活性剤等を用いて樹脂を水中に乳化分散させたもの)を展色剤とする塗料も含める。水性合成樹脂エマルジョンは,乳化重合により製造されるもので,有機溶剤を含まないので,火災や中毒の心配がなく,大気を汚染することがない。水でうすめることができ,塗装作業性がよく,後始末が容易で速乾性である。その反面,乳化剤や保護コロイドを使用するため耐水性が低下する傾向がある。ポリ酢酸ビニル,酢酸ビニル共重合体,アクリル樹脂系等のものがあり,ほとんどが建築塗料(内・外壁,天井用等)として消費されている。砂などを充てんしたリシンペイントや,凹凸模様に仕上げるマスチックペイントも,このタイプのものが多い。
執筆者:大藪 権昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報