改訂新版 世界大百科事典 「エルチョクロ」の意味・わかりやすい解説
エル・チョクロ
El choclo
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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アルゼンチン・タンゴの古典曲。1903年、アルゼンチンのギター奏者で歌手のアンヘル・ビジョルドAngel Villordo(1864―1921)が作曲した。題はトウモロコシを意味するが、実在した人物のあだ名ともいわれる。05年アルゼンチン海軍の練習艦がヨーロッパを訪問した際、この曲の楽譜を持参して初めてタンゴなるものを紹介した。のちカルロス・マランビオ・カターン、エンリケ・サントス・ディセポロらによって数種の歌詞がつけられている。第二次世界大戦後の52年には、アメリカでレスター・アレンとロバート・ヒルが英語歌詞を書いて『キス・オブ・ファイア』(火の接吻(せっぷん))と題され、ジョージア・ギブスの歌で大ヒットした。
[永田文夫]
…また,ブエノス・アイレスに19世紀半ば以来急増したイタリア系移民の,スペイン系とはひと味異なった音楽性が影響を与えたことも無視できない。初期の歴史については不明の点も多いが,ほぼ1860‐70年ころから基本的なリズムと曲の形式が定まり,1900年ころにはたとえば《エル・チョクロ》(ビジョルドAngel Villoldo作曲)のような古典的名曲が生まれるとともに,やがて不可欠のものとなる楽器バンドネオン(一種のアコーディオン)が演奏に採用されるなど,しだいに民衆音楽の形式として確立した。 タンゴはブエノス・アイレス南東部,ラ・プラタ川沿いの風紀の悪い場末町に生まれ,当時は下層社会の音楽として上中流社会から蔑視されたが,それ自体の音楽的向上に加え,1910‐20年代にパリでおおいに認められ流行したことなどから,全市民的な音楽としての地歩を築くようになった。…
※「エルチョクロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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