旺文社世界史事典 三訂版 「オクタヴィアヌス」の解説
オクタヴィアヌス
Gaius Julius Caesar Octavianus
古代ローマの初代皇帝(在位前27〜後14)
カエサルの甥 (おい) で,彼の養子となり,カエサルが暗殺されたのち,政敵を討ってアントニウス・レピドゥスとともに前43年に第2回三頭政治を成立させた。レピドゥスの失脚後,クレオパトラと結んだアントニウスをアクティウムの海戦に破り,前30年エジプトを支配下に置いた。前28年,元老院からプリンケプス(「市民の第一人者」の意)の称号,さらに翌前27年にはアウグストゥス(Augustus,「尊厳者」の意)の称号を受け,ここに実質上の帝政が始まった。こうして要職を一手に握ったが,元老院その他の共和政の制度は残した(プリンキパトゥスの始まり)。軍事的には,養父カエサルより消極的で,領土の防衛を主としたが,政治家としてはきわめてすぐれており,領土拡張より内政の充実に重点を置いて「パックス−ロマーナ(ローマの平和)」をもたらし,ローマ帝国の基礎を確立した。
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