日本大百科全書(ニッポニカ) 「レピドゥス」の意味・わかりやすい解説
レピドゥス
れぴどぅす
Marcus Aemilius Lepidus
(前90ころ―前12)
古代ローマの政治家。名門貴族(パトリキ)アエミリウス氏族の出身。カエサルとポンペイウスとの間の内乱で前者に従い、前49年プラエトル(法務官)、前48、47年スペイン総督、前46年コンスルとなった。同年カエサルが独裁官(第三次)になると、彼の死まで副官を務めた。前44年3月にカエサルが共和派に暗殺されると、アントニウスとともにカエサル派に有利な状況をつくりだし、カエサルの後任として大神祇(だいじんぎ)官になった。翌年秋、アントニウス、オクタウィアヌスとともに任期5年の「国家再建のための三人委員」に任命されて政権を握り(いわゆる第二次三頭政治)、前42年に共和派が敗れたのち、三人委員は共和派の追放、財産没収を行ったが、以後レピドゥスはしだいに勢力を失う。前37年に三人委員の任期はさらに5年延長されたが、翌年レピドゥスは委員の地位を奪われ、権力闘争から脱落、大神祇官の地位に甘んじた。
[吉村忠典]