日本大百科全書(ニッポニカ) 「カトマイ火山」の意味・わかりやすい解説
カトマイ火山
かとまいかざん
Katmai Volcano
アメリカ合衆国のアラスカ州にある活火山。標高2047メートル。アラスカ半島の基部に位置する。上部ジュラ系と花崗閃緑(かこうせんりょく)岩を基盤とする玄武岩と安山岩の複合火山。
1912年6月に山腹のノバルプタ火口(2047メートル)から大爆発し、約21立方キロメートルのおもに流紋岩質軽石からなる火砕流を噴出し、ノバルプタ火口には溶岩円頂丘(溶岩ドーム)が生じるとともに、頂部に径約1.5キロメートルのカルデラを生じた。これはカトマイ火山の下にあったマグマがノバルプタ火口から一気に噴出したために陥没したものと考えられる。降灰は約1500キロメートル先まで達し、東方約160キロメートルのコディアク市も約60時間暗くなり、ヨーロッパでは翌年まで太陽が銅色に見えたという。北西側の谷底では、厚く火砕流堆積(たいせき)物がたまり、おびただしい数の噴気孔群が出現し、「バレー・オブ・テンサウザンド・スモークス」と名づけられた。火山爆発指数は6で、20世紀最大の噴火となった。以後は、1931年までに数回小噴火し、その後も地熱現象がみられる。
[諏訪 彰・中田節也]