カラギーナン(その他表記)carrageenan

翻訳|carrageenan

関連語 山口

改訂新版 世界大百科事典 「カラギーナン」の意味・わかりやすい解説

カラギーナン
carrageenan

紅藻類スギノリ科(スギノリ,ヤハズツノマタ,ツノマタ),ミリン科(キリンサイ)などの海藻より製造した食用糊料。原藻を乾燥・漂白後,細胞間物質を抽出・精製して得た酸性多糖類である。その利用はアイルランドのカラギーンCarrageen村に始まり各国に広まったため,Irish moss extracts,carragheenin,carrageenなどいくつかの呼び名がある。溶解性,凝固性,安定性などを異にするカッパ(κ),ラムダ(λ),イオタ(ι)など数種のカラギーナン成分があるが,市販品中のこれらの含有比率は,原藻の種類,産地,採取時期によって異なり,それに応じて品質や特性も多少相違する。カラギーナンの構成糖は寒天のものと似ているが,結合硫酸基の含量が20~40%と著しく多い。このため水に対する溶解性が良好で,粘性が高く,弾性に富んだゲルをつくる。煮こごりやスープなど料理用として,またハム,ソーセージ,ゼリー,アイスクリーム,プリン,ヨーグルト,マーガリン,ジャム,缶詰など食品工業用の乳化剤・安定剤として,用途はきわめて広い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカラギーナンの言及

【スギノリ(杉海苔)】より

…スギノリに近縁な種に,岩上を横臥(おうが)するように生育するカイノリG.intermedia Suringar,形状がイカの足を連想させるイカノアシG.mamillosa (Good.et Wood.) J.Ag.,葉状の体にいぼ状突起を多数つけるイボノリG.pacifica Kjellm.などがある。日本産のこの属の種はいずれも小型であるが,アメリカ大陸の太平洋沿岸などにはG.corymbifera (Kuetz.) J.Ag.やG.exasperata Harv.et Baileyのように,長さが1m以上,幅が30~50cmにもなる葉状の大型の種が多数生育し,カラギーナン(飲料やジャムなど食品の安定剤,分散剤)の重要な原藻となっている。【千原 光雄】。…

※「カラギーナン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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