日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルーナ」の意味・わかりやすい解説
カルーナ
かるーな
[学] Calluna
ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の小低木。名はギリシア語のkalluno(掃く)に由来し、本種で箒(ほうき)をつくることにより、和名ギョリュウモドキは、草姿がギョリュウに似ることによる。ノルウェーからスペインおよび小アジアを含む地中海沿岸地方原産の1属1種である。エリカに似るが、花は4数性で萼(がく)が花冠より長く、花弁の役をするなどの違いで区別できる。草丈は25~60センチメートル、花色は白、桃、赤など豊富。葉色は淡緑、濃緑、黄で、秋から冬に橙(だいだい)または紅色に変わる品種や、新しい葉が桃色でのちに白から緑色になるものなど変化に富む。一重咲きが多いが八重咲きもあり、グランドカバーとして人気がある。多くの園芸種があるが、よく栽培されるのは夏咲きのブルガリス(ナツザキエリカ)、葉がシンパクに似るヨモカシワ(四方柏)など。耐暑性、耐寒性ともよく、湿気の多い土でよく育つが、浅根性なので夏の乾燥に弱く、2年目くらいで根づまりをおこして主幹が枯れることが多いので、大株は乾期に十分灌水(かんすい)する。緑枝の挿木で容易に殖やすことができ、新苗ほどつくりやすい。
[川畑寅三郎 2021年4月16日]