ガルフ石油(読み)がるふせきゆ(英語表記)Gulf Oil Corp.

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガルフ石油」の意味・わかりやすい解説

ガルフ石油
がるふせきゆ
Gulf Oil Corp.

アメリカの石油会社。世界の石油産業を支配してきた、いわゆる「セブン・シスターズ」を形成するメジャー系国際石油資本の一社であったが、1984年3月、カリフォルニアスタンダード石油(同年7月シェブロン改称)の子会社となり、独立した企業ではなくなった。

 1901年テキサス州スピンドルトップで石油が産出し、同地にJ・M・ガッフィー石油が設立された。同社の設立者たちは、当時アメリカ石油業界を支配していたロックフェラー系資本の傘下に入ることを好まず、ピッツバーグメロン財閥援助を求めた。同社はメロン財閥の基軸企業の一つとみなされたが、メロン家の持株比率はそれほど高くはなかった。1922年、ペンシルベニア州でガルフ・オイル・コーポレーション・オブ・ペンシルベニアが、1907年設立のニュー・ジャージー州法人ガルフ・オイル・コーポレーションの資金と事業を継承して設立され、さらに1936年ガルフ石油に改称された。第二次石油危機以後、石油業界はきわめて困難な状況に直面したが、ガルフ石油は経営陣の不手際も加わって業績不振に陥り、外部からの激しいTOB(株式公開買付け)攻勢の的となった。そのため自らカリフォルニア・スタンダード石油の子会社となる道を選んだ。それは買収費合計133億ドルに上るアメリカ史上最大規模の企業合併であった。

[佐藤定幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android