日本大百科全書(ニッポニカ) 「キングクリップ」の意味・わかりやすい解説
キングクリップ
きんぐくりっぷ
kingclip
ling
[学] Genypterus blacodes
硬骨魚綱アシロ目アシロ科Ophidiidaeの海水魚。リングともいう。ブラジル南部からアルゼンチンにかけての南米大陸、南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアに分布する。体は細長く、少し側扁(そくへん)する。背びれと臀(しり)びれは尾びれと連続し、尾びれの後端は丸い。目は大きく、楕円(だえん)形。上顎(がく)の後端は目の後縁を越える。両顎には絨毛(じゅうもう)状歯が発達し、外側に小犬歯が並ぶ。腹びれは目の中央よりも前方にある。体は赤桃色で、赤褐色の不規則な斑紋(はんもん)がある。全長160センチメートルほどになる。水深200~400メートルにすみ、タラ類、ソコダラ類、ニギス類、エビ類などを食べる。産卵期は8~10月。トロール網で漁獲される水産重要種で、チリ、アルゼンチンでは最高級魚である。日本にも輸入されている。肉は白身でよくしまり、切り身、粕漬け、惣菜魚などにされる。
[尼岡邦夫]